44.香蘇散料

[構成]香附子【甘微寒】4、紫蘇葉【辛温】1、甘草【甘平】1、陳皮【辛温】2.5、生姜【辛温】3(乾生姜1)

本方は香附子と紫蘇葉が主薬となっているので香蘇散と名づけられたもので、紫蘇葉は軽い発汗剤で皮膚表面の邪気を発散する働きがあります。兼ねて血行を良くし、軽く神経を興奮させる能力があります。また特に魚肉中毒を治する働きがあるので、魚肉中毒による蕁麻疹を治します。香附子は気を調え鬱を散じ、月経を調えて止痛し、

陳皮、甘草には健胃の働きがあります。

[出典および口訣]

@「風邪少し引きて薬を用いるか不用かと云う位のに用いる剤なり。地黄、人参など温補して癒えず、つかえるに用いて功を得ることあり。」        北尾春圃

A「傷寒、瘟疫など劇症に用ゆべき薬にあらず。唯微熱微悪寒微頭痛しばしばくさめひりて、清涕出るなどの感冒には用いて効あり。(略)男女とも気帯にて胸中、心下痞塞し、飲食を思わず黙々として動作にものうく心下急縮して胸下苦満するもので、大小柴胡湯でかえって具合の悪くなる者に用いる。」    『蕉窓方意解』 和田東郭

B「紫蘇と云う物が芳香なる質にて軽く気を散らす。香附も鬱気を散らす。陳皮も胸にたまる気を暢ばし開く。右の如く気を開く物なれば自ら外邪も散る。内外共に気の凝りふさがるを開き散らすぞ。

C「此の方は気剤の中にても揮発の功あり。(略)昔西京に一婦人あり、心腹痛を患い諸医手を尽くして癒すこと能はず。一老医、此の方を用い三貼にして霍乱然たり。其の昔、征韓の役、清正の医師の此の方にて兵卒を療せしも気鬱の揮発セ氏が故なり。又蘇葉は能く食積を解する故に食毒魚毒より来る腹痛または喘息に紫蘇を多量に用うれば即効あり」              『勿誤薬室方函口訣』  浅田 宗伯

[証および適応症]

○平素より胃腸虚弱な人のかぜの初期で、症状のあまり激しくないものに用います。

 葛根湯や麻黄湯は胃や胸に痞えるといった人が、頭痛、頭痛、悪寒、食欲不振を訴えて熱が出かかったりするときにもちいます

○平素より虚弱で神経質、、気分が抑鬱気味で胃が弱く、食欲不振、精神不安や頭痛のある者に用います。

○魚肉あるいはその他のものによる、中毒症状、蕁麻疹などに用います。

[留意点および加味方]

@頭痛には川芎、白芷を加える。

A発熱には柴胡、黄芩を加える。

B腹痛には木香を加える。

C咽痛には桔梗を加える。

D風邪を引いた後に、耳が塞がった感じのするものにこの方と小柴胡湯を合方して柴蘇飲を用いる。

E胃腸が虚弱で、食欲がなく、体がだるくて(特に手足がだるくて)何もやる気が出ないという鬱症状に、補中益気湯と合方して良い場合がある。

F慢性化した頑固な蕁麻疹で、十味敗毒湯など他の処方で良くならない時には、魚肉中毒という目標が当てはまらなくとも1度は用いてみる。この時、便秘があれば大黄を発赤と痒みが強ければ黄連や山梔子を少量加える。

G紫蘇はアントシアン系の赤色色素の有無によって、赤紫蘇と青紫蘇に分けられるが、

薬用には赤紫蘇が用いられる。

H紫蘇葉の有効成分は、精油成分であるペリルアルデヒドであるので、長く煎じると効果が半減します。煎じ終わる直前に入れるのが望ましい。



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