41.温経湯

[構成]  半夏【辛平】4、当帰【甘温】3、麦門冬【甘平】4、川芎【辛温】2、芍薬【苦平】2、人参【苦微寒】2、桂皮【辛温】2、阿膠【甘微温】2、牡丹皮【辛寒】2、甘草【甘平】2、生姜【辛温】1、呉茱萸【辛温】1

芎帰膠艾湯から地黄、艾葉を除いたもの、当帰建中湯の大棗を去ったもの、麦門冬湯の粳米を除いた処方の合方になっています。

[出典および口訣]

@「問うて曰く、婦人年五十所、下血を病み、数十日止まず、暮れには即ち発熱、小腹裏急、、腹満、手掌煩熱、唇口乾燥するは何ぞや。師の曰く、此の病、帯下に属す。何を以ての故ぞ、かつて半産を経て瘀血小腹に在って去らず。何を以てこれを知るや。其の証唇口乾燥す。故に之を知る。当に温経湯を以て之を主るべし。」

「婦人、小腹寒えて、久しく胎を受けざるを主る。兼ねて崩中去血あるいは月水来ること過多、及び期に至って来らざるを治す。」      金匱要略 婦人雑病篇

A「此の方は胞門虚寒と云うが目的にて、凡そ婦人血室虚弱にして月水不調、腰冷腹痛、頭疼、下血、種々虚寒の候ある者に用ゆ。年五十云々に拘るべからず、反って方後の主治によるべし。又下血の証、唇口乾燥、手掌煩熱、腹塊なき者を適証として用う。若し癥塊あり快く血下らざるものは桂枝茯苓湯に宜し。また一等重きものは桃核承気湯とするなり。」         『勿誤薬室方函口訣』 浅田 宗伯

B「此の方経水来る事過多、若しくは来らず小腹の冷に因りて瘀血有る者に用ゆ。夫れ婦人の病は経水の順否を問うこと第一なり。其の体肥満する者は平素経水少なく、綽態なる者は経水多く、何となれば経水少なきものは其の血順行せず、肢体に益して肥満せしめ必病多し。経水多きものは其の血順行するを以て綽態にして必病少なし。」                        『方読弁解』 福井楓亭

C「此の症、婦人産後に多し。凡そ産後の下血に逢はば先ず此の方を、擬して見ること常席とすべし。其の症、下利あり。虚熱にて唇口乾き、手足の心ほめき、強く腹満等の症、或いは時々嘔吐、不食などの症もあるなり。また産後に限らず、老婦の下利(下血)日久しく止まざる者に此の湯を用いてよきことあり。又婦人の漏下日久しく腰痛する者にも用ゆ。効あり。」    『梧竹樓方函口訣』百々漢陰・鳩窓

D「此の方は瘀血小腹に在ると云えども、必ずしも抵当承気の堅塊有るが如くにあらず。蓋し乾血少腹に凝固して津液滋養することあたわず。故に滋陰潤燥の品を用いれば、即ち乾は潤い結は解けるのみ。故に方中多く滋潤の品を用いる。瘀を破るは則ち牡丹皮なり。茲に知りぬ、唇口乾燥は其の一端を挙げ、以て津液滋養を失うを示すなり。その人必ず火強くして血を爍すの質に属す。(略)桂枝湯の加減なり、更に当帰を加えれば則ち当帰建中湯なり。また当帰四逆加呉茱萸生姜湯の加減なり、また芎帰膠艾湯の加減なり。また、炙甘草湯の加減なり、則麦門冬湯の加減なり。」

                             『経方弁』山田業広

E「婦人年五十ばかり下利を病み云々とあるも此の處は黄連解毒湯よきものなり。黄連解毒湯にてまず治めおきて、そのあとの調理に温経湯を用いる也。其れ調理の時と云うは十に八、九は血も止みしが、熱あり、手掌煩熱などの如きありて、未だ全癒せざるとき温経湯を用いてよきなり。(略)温経湯の証にて上熱強ければ柴胡、下寒つよければ附子湯や真武湯などの類を與ることあり。若しまた血下りすぎて止まざるときは、上熱と下寒とを問わずして芎帰膠艾湯を用いることあり。また唇口乾燥、手掌煩熱、上熱下寒、塊なき者は温経湯のゆく處なり。(略)桂苓丸は快く血の下らざるに用い、温経湯は血快く下り止まざる者に用いる。」

『稿本方輿輗』有持桂里

[証および適応症]

証:婦人で下腹部が冷えて妊娠しないもの。子宮出血や月経不順、あるいは月経過多、月経寡少などがあって、下腹部がひきつれ痛み、腹部が膨満するもので、手掌が煩熱し、口唇が乾燥するもの。その他に、全身がかっと熱くなったり、帯下が止まないもの、大便が快通せず秘結するものに用います。

適応症:@月経不順、子宮出血、血の道症、更年期障害、不妊症、

A進行性指掌角化症、主婦性湿疹、アトピ―性皮膚炎、凍傷、乾癬



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