39.七物降下湯

[構成] 四物湯+釣藤鈎【苦微寒】4、黄耆【甘微温】3、黄柏【苦寒】2

四物湯に、毛細血管の拡張作用のある釣藤鈎と黄耆を加え、さらに消炎作用、健胃作用のある黄柏を加えた処方です。

[出典および口訣]

戦後に漢方医大塚敬節によって創案された処方で、自身の高血圧、眼底出血の治療のために使用されたものです。この処方は四物湯をベースにしていますが、江戸時代の和田東郭によると、「四物湯は腎の機能が衰えたために、肝の機能が乱れて血が盲動するものを治すものだ。」と書かれています。さらに「腎の働きが衰えたときは水分穴に動悸が起こり、これが四物湯を使用する目標の一つである。」とも述べられており、これは七物降下湯が腎性の高血圧によく使用される根拠になっています。また七物降下湯は主に最低血圧が高い人に向いていると言われていますが、最低血圧が高い人は毛細血管の動脈硬化が進んでいる人が多く、これに四物湯の活血作用や釣藤鈎や黄耆の

血管拡張作用が働くためだと思われます。

[証および適応症]

疲れやすく、血色がすぐれず、必ずしもひどい貧血がないのに、なんとなく顔に明るさがなく気分が落ち着かない、神経質な人の高血圧症、またそれに伴う随伴症状(頭重、頭痛、出血傾向、のぼせ、肩こり、耳鳴り)に使用します。また元来腎臓の機能が弱く、尿の出が悪い、浮腫みやすい、足が冷える、腰(ウエストの辺り)が重だるいといった腎虚の症状があって、血圧の高い人によく奏効します。

@どちらかといえば普通からやや虚証タイプ向きですが、最低血圧が高い場合にはあまり体力にこだわらず使用できます。

Aのぼせや不眠、精神的な緊張が強く、最低血圧・最高血圧ともに急に跳ね上がり、血圧降下剤を服用すると逆に急に下がったりする人は、自律神経の失調によることが多いので、黄連解毒湯や柴胡加竜骨牡蛎湯などを検討します。

B腎臓の濾過能力が低下してクレアチニンの数値が上昇し、血圧も上がっている時は、本方と六味地黄丸の合方が効果的です。



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