37.ヨクイニン湯

[構成] 麻黄【苦温】4、当帰【甘温】4、蒼朮【苦温】4、ヨクイニン、【甘微寒】8、桂皮【辛温】、芍薬【苦平】3、甘草【甘平】2

麻黄は本方においては桂枝と組んで発汗作用を示す。また本方においては主として鎮痛作用により、関節の痛み、筋肉の痛みを鎮める。当帰は血液循環の改善、鎮痛、補血、強壮の効果があり、また芍薬も補血作用により筋肉を滋潤し鎮痛、鎮痙の作用があります。ヨクイニンはハトムギの種子で、排膿、利尿、鎮痛の作用があり、麻黄、桂皮の発汗作用とともに、関節や筋肉の水毒を取り除き消炎鎮痛の効果があります。

[出典および口訣]

「手足の流注(関節リウマチ)、疼痛、麻痺不仁(運動障害・感覚障害)以て屈曲し難きを治す。」    『明医指掌』

[証および適応症」

証:関節リウマチなどで、急性期が過ぎても関節、筋肉の熱感、腫脹、疼痛が軽快せず、慢性に移行しようとするもので、汗をかきにくく比較的胃腸が丈夫で体力の充実している者に用います。

適応症:いろいろな原因で起こる関節炎、筋肉炎、筋肉痛、膠原病などに用います。

関節リウマチの漢方治療について…

慢性関節リウマチは古来より「歴節病」「白虎病」「痛風」「鶴膝風」などと呼ばれていますが、当時は現代のような病因の詳しい検索がなされていなかったのでこの分類のなかには慢性関節リウマチ以外にも結核性の関節炎や、膠原病性の関節炎も含まれていたと思われます。

これらの関節炎の発病初期(急性期)には発熱や身体疼痛、体のだるさなどの全身的な症状がみられることがあり、感冒との鑑別が困難な場合が少なくありません。この場合汗が出なくて、身体疼痛、関節痛、筋肉痛がある場合は、麻黄湯や麻黄加朮湯、葛根湯などで発汗して表の風湿の邪を除いてやれば症状は多くの場合緩和します。発汗して解熱してもなお疼痛が身体のあちらこちらに残ったり、発汗剤をもう使っていないのに汗が出てきたりするときには、さらに少し深い所に湿邪が滞り、表は虚していることを示しています。

この場合には麻杏よく甘湯・桂枝加朮附湯・越婢加朮湯・桂枝二越婢一湯で陽気を補いながら湿邪を除きます。

ヨクイニン湯は方中に桂皮・麻黄を含むため基本的には無汗で表実の者に適応しますが、急性期の症状よりも、慢性化して腫れと炎症がなかなか引かなくて、疼痛のあまり激しくない場合に用いられます。急性関節リウマチで口渇、自汗を伴い、微熱、倦怠感を訴え、局所に灼熱感があり、腫脹して疼痛に苦しむ場合は越婢加朮湯を使用します。

[加減方および留意点]

@打撲などから起こった関節痛で、瘀血の症状がみられる時には、桃仁、牡丹皮、

大黄などを加味すると炎症が速く引きます。

A腫脹、痛みの強いときは、石膏を加え越婢加朮湯の方意を加味します。

B冬期に発症したり、もともと冷え性で、体が温まると痛みが緩和する人は患部に熱があっても体の内部は冷えていることが多いので、脈が沈んでいれば少量の附子などを少量加えて陽気を補います。

C方中に麻黄、当帰が含まれているため長く服用していると胃に障ることがあります(胸やけや胃重感など)。服用量を減らすか、食後に服用します。煎じ薬の時は茴香2、牡蛎3を加味します。



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