34.六君子湯

[構成] 人参【甘微寒】4、白朮【苦温】4、茯苓【甘平】4、甘草【甘平】2、半夏【辛平】4、陳皮【辛温】2、大棗【甘平】2、生姜【辛温】0.5

四君子湯に二陳湯(半夏、茯苓、陳皮)を加えた処方で、また半夏瀉心湯の黄連、黄芩を茯苓、朮にかえて陳皮を加えた処方と考えられます。二陳湯の陳とは「古い」という意味で半夏と陳皮の2生薬は古いものが佳品とされています。半夏は薬味辛・平で、吐き気、咳、痰、胃内の停水を取り除き、陳皮は薬味辛温で中を調え、膈部(上腹部)の不快をとり、滞を導き、痰(胃内停水)を消し、気を利し、湿を乾かす働きがあります。このように二陳疼は、胃下垂、胃アトニーなどがあり、水分が胃内に停滞し悪心・嘔吐を起こす場合に主として用いられます。また、めまいや悪阻、二日酔いなど水毒による症状にも使用されます。

[出典および口訣]

@「この方は理中湯の変方にして中気を扶け、胃を開くの効あり、故に老人脾胃虚弱にして痰あり。飲食を思わず、或いは大病後脾胃虚し、食味なき者に用いる。陳皮、半夏、胸中胃口の停飲を推し開くこと一層力ありて、四君子湯に比べれば、最も活用あり。」                   『勿誤方函口訣』 浅田宗伯

A「脾胃虚弱水湿を帯びるものを治す。予の治験とて別に単方を用いること少なし。大病の死極まりたるものなど、真武湯、四逆湯の類を用いて成る程症はいかにも的当なれども、病人の元気至って虚し、附子の薬力に堪えず、薬煩(かえって煩燥状態になる)するもの世にままにあるものなり。其の時には、この湯を与えれば元気もでて、薬煩も起こらずに至って楽になるものなり。」       百々 漢陰先生

B「脾胃虚弱、飲食少しく思い、或いは久しく瘧痢(悪寒発熱をともなう下痢)を患い、若しくは内熱を覚え、或いは飲食化し難く酸をなし、虚火に属するを治す。炮姜を加えてその効甚だ速也」                   『万病回春』

C「六君子湯は四君子湯と二陳湯の合方にて、元気虚弱にして痰ある症に用て

は正方の方也と知るべし。面色萎黄、脈微弱、手足のだるきは是脾胃の虚也。咳嗽痰涎は痰なり、故に六君子湯を用いたり。」      『経験筆記』 津田 玄仙

[証および適応症]

証:平素より胃腸弱く、疲れやすくて貧血気味、手足は冷たく重い。食欲少なく食事をすると腹が張るので多くは食べられない、胃部がたえず重苦しいという慢性胃腸障害の人に適しています。このような人は胃腸の水分循環が悪く、胃内停水による胃部振水音が聞かれることがあります。また長く泥状便や軟便が続いたり、食後すぐに横になりたがる人に用いられます。

適応症:胃炎、胃アトニ―、胃下垂、消化不良、食欲不振、胃痛、嘔吐、軟便・下痢など

[加減方および留意点]

@香砂六君子湯:六君子湯に香附子【甘微寒】3、藿香【辛微温】2、縮砂【辛温】3を加える。六君子湯の証で、気うつ、神経症の症状の強い時に使用する。

A柴芍六君子湯:六君子湯に柴胡【苦平】3、芍薬【苦平】3を加える。六君子湯の証で、神経過敏で胸脇苦懣と腹直筋の緊張があり腹痛するといった四逆散の証を合わせ持つ者に用います。

B桂芍六君子湯:六君子湯に桂枝【辛温】3、芍薬【苦平】6を加える。六君子湯の証で、下痢と便秘を繰り返し腹部膨満して痛むといった桂枝加芍薬湯の証を合わせ持つ者に用います。



ホームページへ   前のページ   目次に戻る   次のページ

Copyright