28.防風通聖散

[構成]

当帰【甘温】、芍薬【苦平】、川キュウ【辛温】、梔子【苦寒】、連翹【苦平】、薄荷【辛温】、生姜【辛温】、荊芥【辛温】、防風【辛温】、麻黄【苦音】以上1.2、 大黄【苦寒】、芒硝【苦寒】、以上1.5  桔梗【辛温】、黄芩【苦寒】、石膏【辛寒】、甘草【甘平】、白朮【苦温】以上3、滑石【甘寒】3

本方の大黄、芒硝、甘草は調胃承気湯で、胃腸内の食毒を駆逐します。防風、荊芥、麻黄は皮膚から病邪を発散し、桔梗、山梔子、連翹は、解毒消炎の働きがあり、荊芥、薄荷は頭部の熱を冷まします。白朮は滑石と共に水毒を腎、膀胱より排泄します。黄芩、石膏、山梔子は消炎鎮静的に作用し、当帰、川芎、芍薬は活血剤で血行を改善します。このように防風通聖散は薬味が多く、非常に複雑な構成からなっていますが、全体としては、表裏に充満している病邪(食毒・水毒・風毒・瘀血)を瀉下法、発表法、を駆使して解毒する薬方です。


[出典および口訣]

@「軽い卒中発作の後で、風熱の邪が生じ、大便が秘結して小便も出渋り、頭や顔に化膿性のできものが出たり、目が赤く充血して痛みを感じたりするもの。また言語に少し障害があり、舌がもつれたり口が閉まらなかったり、酒査鼻のように鼻に赤紫色の血管炎を起こしたり、喘息様の気管支炎を起こしたり、肛門から出血したりする。これらは皆、陽が鬱して諸熱となるためで脳に熱が及ぶとうわごとを言ったり、精神錯乱状態となる。(意訳)」     『万病回春・中風門』

A「面に瘡を生ずるは上焦の火なり、清上防風湯。面の瘡汁出づる者に荊防敗毒散、甚だしき者はには防風通聖散を用いゆべし。」           香月牛山


[証および適応症]

森道伯(1867〜1931)が体系化した一貫堂医学では病人の体質を大きく、解毒証・瘀血証・臓毒証の3種類に分類して治法を施していますが、防風通聖散はそのうち臓毒体質証の治法に用いられます。臓毒証体質とは、皮膚の色は黄白色、体格は一般に骨格たくましく、肥満気味で太鼓腹、卒中型と呼ばれ、将来脳溢血を起こす危険性を感ずる風貌をそなえた者を標準としたタイプです。この臓毒証について矢数格先生は、「我々の言う臓毒なる名称は特別な意味を持っている。すなわちこの臓毒とは体内のある種の毒に対する名称で、病名ではない。臓毒とは簡単に言えば臓器の毒で、いわゆる新陳代謝障害物など、その他の毒が身体の各臓器に蓄積したものを言う。言いかえれば、防風通聖散で治すべき病気にかかり易い体質の者を臓毒証体質と言い、この薬方は風毒、水毒、食毒、梅毒を駆逐する効能を持っているのでこの四毒がつまり臓毒に相当する・・・」と記しています。以上のことより、防風通聖散の証の人は、「体格がしっかりして肥満気味で腹部に皮下脂肪が多く、胃腸は丈夫で食欲は旺盛。どちらかというと便秘がちで、体に邪熱が充満しやすいために鼻や喉に炎症を起こし、暑がりで血圧は高い傾向にある人」ということができます。適応症としては糖尿病や痛風・脂肪肝・結石などの代謝障害病や、脂漏性湿疹・円形脱毛症・蕁麻疹・などの皮膚病、高血圧による、のぼせやふらつき、耳鳴りなどに用います。また服用することによって動脈硬化・脳卒中、脳梗塞などの予防にもなります。


[加減方および留意点]

@皮膚病に応用する場合、一時的に悪化することがありますが、これはこの処方の発表作用・解毒作用によるもので、しばらくすると治まるので、あらかじめ患者さんに伝えておいた方がよいです。

A妊娠している者、虚弱で下痢をしやすい者、胃腸障害の強い者には用いません。



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