18.芍薬甘草湯

[構成] 芍薬【苦平】4〜8、甘草【甘平】4〜8

芍薬の薬能は「@血の不足(血虚)を補う。A血とともに全身を巡る栄気を補う。B筋肉の攣急をゆるめ、腫を去り疼痛を治す。」などです。薬徴には「結実、拘攣を主治し腹痛、頭痛を傍治する」とされています。さらに甘草は薬徴に「急迫を主治する。」とあり、急痛・攣急を治し緩和解毒の作用があります。


[出典および口訣]

@「傷寒、脈浮、自汗出で、小便数、心煩、微悪寒、足攣急するに、かえって桂枝湯を与えてその表を攻めんと欲するのは此れ誤りなり。之を得てすなわち厥し、咽中渇き、煩躁、吐逆の者には、甘草乾姜湯を作りて之を与える。もし厥が癒え、足温なる者には、更に芍薬甘草湯を作りてこれを与える。」『傷寒論・太陽病中篇』

A「一切手足の筋攣急する者に用いてよし。小児の肝気たかぶりて筋脈引きつり、歩覆に悩む者に用いてよし。」百々漢陰

B「腹中攣急して痛む者を治す。小児夜泣き止まず腹中攣急、甚だしきものに、亦寄効あり。」                   『類聚方広義』

C「この方は脚攣急を治するが主なれども、諸家、腹痛および脚気両方足或は膝頭痛み、屈伸すべからざる者、其の他、諸急痛に運用す。」く浅田宗伯

D「ある人力車夫が、空腹をこらえて、強いて遠隔地まで走り、家に帰ると同じに倒れてそれきり歩けなくなり、脚が痙攣を起こしてその苦しみは耐えられないという。そこで芍薬甘草湯を与えたところ即効を得た。」  堀越兆淳


[証および適応証]

証:急激に起こる筋肉の攣縮による痛みを目標として、頓服で使用されることが多く、その痙攣は平滑筋と骨格筋とを区別する必要がありません。腹証では両側の腹直筋が攣急していることが多いです。

適応証:

@筋肉のこむら返り(主に下肢痙攣)には、その筋痙攣の原因が局所の循環不全によるもの、捻挫・筋肉リウマチ・関節炎によるもの、脊髄性あるいは末梢神経性によるものにも、その原因を問わず、急激に起こったものに有効です。

Aこの方は、胆石仙痛発作・尿路結石仙痛発作の痛みを和らげ、その他の腹痛(胃痙攣・下腹部痛)、原因不明の一過性の腹痛に、鎮痛剤として対症療法的に用いて効果を期待できます。芍薬甘草湯は表のみならず裏にも働き痙攣・疼痛を緩和します。つまりこむら返りなどの骨格筋の痙攣・疼痛みならず内臓平滑筋にも有効です。

B生理痛で下腹部が引きつり痛むものに用います。

C乳児の夜啼きが強くよくひきつけなどを起こす者に用います。

Dいわゆるぎっくり腰・四肢関節痛・神経痛で筋肉の緊張の見られるものに用います

E喘息発作(気管支収縮による呼吸困難)で咳をするたびに四肢背筋に力をこめている者に用います。


【加減方および留意点】

@芍薬甘草附子湯:筋肉の引きつりや疼痛があり体が冷えると痛みが増強するものには芍薬甘草湯に附子0.5〜1gを加えます。

A芍甘黄辛附湯:芍薬甘草湯に細辛3、大黄0.5〜1、附子0.5〜1を加える。

腰腹部に冷感と疼痛があり便秘の傾向にあるものには、芍薬甘草湯に大黄附子湯を合わせて用います。坐骨神経痛やヘルニアの痛みで便秘して、排便すると痛みが和らぐものには効果的です。

B本方は頓服的に用いるもので、連続して用いることはすくない。連用すれば、甘

草の副作用といわれている浮腫や筋無力症様症状が現われることがあります。もしこれらの症状が起こったときは五苓散を服用します。

C甘草の副作用は、そのなかに含まれているグリチルリチンによる低カリウム血症によるものです、そのため低カリウム血症を起こすおそれのある、サイアザイド系利尿薬、フロセミド、ステロイド系薬剤、グリチロンなどとの併用は避けます。

D甘草は炙甘草にすれば副作用が起こりにくくなります。



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