13.半夏厚朴湯

[構成]半夏【辛平】6、茯苓【甘平】5、生姜【辛温】4(乾生姜1)、厚朴【苦温】、蘇葉【辛温】2

半夏と茯苓は胃内の停水を去り、悪心・嘔吐を治し、水分代謝を調整する働きがあります。厚朴は筋肉の緊張・痙攣をゆるめ、気の鬱滞を開き、そのめぐりを良くすることによって腹満や鼓腸を治します。蘇葉は軽い発表作用があり、気を開くと共に胃腸の働きもよくします。生姜は茯苓・半夏の働きを助け、胃腸の機能を盛んにして停水を去り嘔吐を止めます。


[出典および口訣]

@「婦人、咽中炙臠(インチュウシャラン)あるが如きは、半夏厚朴湯これを主る。」

『金匱要略』婦人雑病論

A『「婦人、胸満して心下堅く、咽中帖々として(くっついて離れないさま)炙肉臠あるがごとくこれを吐けども出でず、飲めども下らざるを治する。」『千金要方』咽中炙臠とは、咽中に炙った肉の切片が附着しているが如く感じることをいいます。梅核球またはヒステリー球とも言われています。


[証および適応症]

証:精神不安があり、咽喉から胸元にかけてふさがるような感じがして咳がでて、胃部に停滞膨満感のあるものです。この薬方が適応する人は、多く痩せ型で皮膚や筋肉の緊張が悪い虚弱体質の人に多く、消化機能が悪く、悪心や嘔吐をともない胃内停水、めまい、ガスの滞溜などがみられます。また精神的にも不安定で気分が落ちこみやすく、動悸や不眠があり、とり越し苦労で不安感が強く、時にパニック発作を起こしたりします。

  自覚症状を細かく書いたメモを持参したり、突然心臓を握られるような感じがしで、死んでしまうのではないかと思ったり、一人で居ることを好み、人と話をしていると穴底に引きずり込まれるような感じがすると訴える人に半夏厚朴湯の証の人がよく見られます。

適応症:心臓神経症、食道神経症、鬱状態、ヒステリー、食道痙攣、胃下垂、胃アトニ−、妊娠悪阻、扁桃炎、気管支炎、喘息、バセドー病、嗄声顔面浮腫、陰嚢水腫、乾咳、頻尿、尿量減少、腎炎などに用いられます。


[加減方および留意点]

@ 半夏厚朴湯合小柴胡湯(柴朴湯):半夏厚朴湯の証があり、倦怠感や食欲不振を訴えて胸脇苦満のあるものは小柴胡湯を合わせて柴朴湯とします。小柴胡湯の適応する体質よりも、より神経質で、風邪を引きやすく、疲労し易く、食が細く、見るからに虚弱体質と云える体質の人によく適応します。この体質の人は肺の気が薄いため常に酸素不足になりがちで、顔色や皮膚の色艶が悪く、喘息やアレルギー疾患、皮膚疾患になりやすい傾向にあります。このような人の体質改善に多用されますが、そのためには長期間の服用が必要です。

B 茯苓飲合半夏厚朴湯:平素より胃腸が弱く、アトニータイプで貧血傾向があり、疲れやすく足が冷える。小便は近く、大便は硬軟不定で性格は消極的で神経質、不安感が多い。以上のような人が、胸部・胃部に停滞膨満感、咽喉部異物感、発作性の心悸亢進、取り越し苦労、不安感を訴えるものに用います。

C 動悸・息切れの激しいものには桂枝甘草竜骨牡蛎湯を加えます。



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