9.柴胡桂枝湯

[構成] 小柴胡湯と桂枝湯を合わせたものです。

柴胡【苦平】5、半夏【辛平】4、桂皮【辛温】2.5、黄ごん【苦寒】・人参

【甘微寒】・芍薬【苦平】・大棗【甘平】各2、甘草【甘平】1.5、生姜【辛温】1.0


[出典および口訣]

@「傷寒にかかって六〜七日たち、発熱はしているけれども悪寒は少しになり、骨の節々がだる痛くて、少し吐き気がある。みずおちがつかえてはり、腹直筋が緊張して時に腹痛を訴えるようになる。しかしながら頭痛や悪寒などの外証(表証)も残っている時は柴胡桂枝湯を使う。(意訳)」『傷寒論・太陽病下篇』

A「柴胡桂枝湯の方、心腹卆中痛(心下部の疝痛発作)の者を治す。」有持桂里

B「この方は疼によくきくものなり。手足の痛みや腰の痛みにも効ある者なり。いずれ柴胡の証にして身内のどこかに痛みのある者に用いて効あり。柴桂湯の心腹痛は卒痛とあり、卒(にわか)に発したる者にあらざれば効なきものなり。卒(にわか)と云うのは即ち今おこりし者のみを云うにあらず。二三日以前から心痛腹痛して癒えざるという者に用いてよく効ある者なり。ただ二月三月にも長く日を引きしものには効なきものなり。『金匱要略・腹満寒疝宿食病篇』


[証および適応症]

証:

自然発汗があって微熱、悪寒し、みぞおちがつかえて頭痛、関節痛がある者で口の中が苦く、胃痛悪心、腹痛が激しく食欲不振などを伴うもの。

適応症:

この処方を慢性疾患に応用する場合は、胸脇苦満と上腹部の腹直筋攣急を目標に、胸部〜上腹部、場合によっては下腹部の疝痛と、頭痛、腰痛、肩こり、てんかんなどに使われます。この処方を神経症や婦人の血の道症に用いることがあり、尾台榕堂は類聚方広義で「婦人がこれといった原因もないのに寒気を訴えたり、熱感をおぼえたり、頭痛がしたり、めまいがしたり、みぞおちがつっぱるように感じたり、嘔吐や悪心があったり、からだがだるかったり、またしびれ感を訴えたり、鬱々として人に接するのを嫌い、あるいは頻々と欠伸をするものはこれを血の道症というがこの方がよい。」とあります。適応疾患名では、感冒、流感、肺炎、気管支炎、急性腸炎、胃・十二指腸潰瘍、胆石症、膵炎、肝炎、肋間神経痛、狭心症、自律神経失調症などです。


[加減方および留意点]

@胃腸の症状には安中散を合方するか茴香【辛平】、牡蛎【鹹平】を加味します。

A心腹痛の激しい場合は芍薬・甘草を増量します。

B胸痛や腰痛の激しいときは延胡索【辛温】呉茱萸【辛温】を加えることがあります。

C痙攣性の疾患、てんかんなどには芍薬の量を増量します。(小柴胡湯と桂枝加芍薬湯の合方)

D慢性の肝臓、胆のう疾患で黄疸のある場合には茵チンコウ【苦平】山梔子【苦寒】を加味します。

E腹部などに動悸があり神経がたかぶる時は竜骨・牡蛎を加えます。



ホームページへ   前のページ   目次に戻る   次のページ

Copyright