4.当帰芍薬散(料)

[構成]

当帰【甘温】3、芍薬【苦平】4、川芎【辛温】3、茯苓【甘平】4

沢瀉【甘寒】4、白朮【苦温】4

当帰、芍薬、川芎は温性の駆瘀血薬であり、貧血を補い、血行を改善し、免疫反応を調節して冷え症に用います。茯苓、沢瀉、朮は駆水剤で、めまい、立ちくらみ、頭冒、排尿異常などの水毒症状を除きます。処方全体としての性質は温性なので、陰証で虚証の傾向にある人の血虚、瘀血、水毒の諸症状に用いられます。


[出典および口訣]

@「婦人懐娠、腹中きゅう痛するは当帰芍薬散これを主る。」

『金匱要略・婦人妊娠病篇』

A「婦人の腹中の諸疾痛は、当帰芍薬散これを主る。」

『金匱要略・婦人雑病篇』

B「子嗽(妊娠中の咳)は、胎気の成長に因って、水の心下に停して、欬を為すなり。当帰芍薬散に宜し。」 『先哲医話』 浅田宗伯

C「此の方、全体は婦人の腹中きゅう痛を治するが本なれども、和血に利水を兼ねたる方故、建中湯の症に水気を兼ねる者か、逍遥散の症に痛を帯びる者か、いずれにしても広く用いるべし。」       『勿誤薬室方函口訣』 浅田宗伯

D「一婦人、月経過度、或は一月に再見す。肩背強ばり、腹中攣急、或は硬満し、飲食よく進み、大便秘結し、陰門痒し。これを患うこと数年、未だ治効を得ず。

先生当帰芍薬散を与え、下瘀血丸を兼用し全治す。」   『成蹟録』吉益南涯



[証および適応症]

証:外見は痩せ型で色白,肌にはつやがなく、多くは皮膚はやや乾燥気味ですが水っぽく弛緩していることもあります。冷え性で貧血気味、とにかく疲れやすいといった体質の人に適応します。このような人が、めまいや耳鳴、肩こりや頭痛、頭が重たい、動悸がする、小便が近い、手足がともに冷える、むくみやすい、朝の起床時に顔や手の指がなんとなく腫れぼったいといった、水毒症状を訴えられる時に使用します。

適応症:主には陰証で虚証の傾向をもつ人の婦人科疾患に応用されます。

@月経異常…過多月経・無月経・月経困難証・月経前緊張症などで下腹部から背中にかけてひきつるもの。

A不妊症、流産癖、更年期障害や血の道症。

B妊娠、出産後の諸種のトラブル例えば産後の腰痛や貧血など。

C血圧に異常(高血圧・低血圧)があり体内に冷えと水分の貯留があるもの。

D腎炎・ネフローゼで動悸、浮腫、貧血、足冷えのあるもの。

E痔核、痔出血、肛門脱出、子宮下垂、子宮脱。

Fひび、あかぎれ、じんましん、にきび、そばかす、湿疹。

Gその他の疾患…アレルギー性鼻炎(小青竜湯無効のとき)

H下半身が特に冷えやすく、抗生物質を服用してもなかなか良くならない慢性膀胱炎に用いて良い場合があります。

[加減方および留意点]

@当帰芍薬散加ヨクイニン当帰芍薬散の適応症で肌荒れやいぼに使用するときはヨクイニン10を加える。

A生理痛の強いときは牛膝、延胡索を加える。

B本方を服用すると、胃にもたれる人がいます。これは方中の当帰・川芎によるもので、四君子湯か安中散を併用すれば治ります。

C服用するとかえって腹痛が強くなったり、むくみが増す時は証が違っているので他の処方を考えます。



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