3.桂枝茯苓丸(料)

[構成]

桂枝【辛温】、茯苓【甘平】、桃仁【苦平】、牡丹皮【辛温】、芍薬【苦平】各4

桃仁・牡丹皮はこの処方の主薬で寒性の駆瘀血薬で体内に凝滞している瘀血を去り桂皮は牡丹皮・桃仁と組んで気血をめぐらし茯苓は水分の停滞を調節し、芍薬は鬱血湯を散じ、筋肉の緊張・弛緩を調節し鎮痛の効を発揮します。


[出典および口訣]

@「婦人が以前から腹内に腫物をもっているとき、月経が閉止してから三ヶ月に及ばずして、再び出血して止まず、胎動が臍上に触れる場合は、その出血は腫

物のあるところへ妊娠したためで、これを癥痼の害という…

癥痼の害によって出血の止まらない場合は、腫物があるからである。その腫物を除かねばならない。その腫を下すべし、桂枝茯苓丸これを主る。」       『金匱要略・婦人妊娠病脈証并治第二十』

A「産母の腹痛、腰痛をうかがい、胞漿水下るをみて、まさに服す。」  『万病回春』

B「桂枝茯苓丸は、古く下腹部に瘀血が結滞して塊を形成し、そこに妊娠したので胎が塊に邪魔され、そのため胎動し、或いは漏下が止まらない場合に用いる薬方である。瘀血を駆逐して胎を育てる作用があります。その他一切の瘀血が下部に凝って生じる諸々の証に対して、産前産後を問わずこの薬方を主治として使用するがよい。」                    百々漢陰先生口訣

C「此の方は、瘀血からくる癥痼(血塞、凝結、腫瘤等)を去るが主意にて、すべて瘀血より生じる諸症に活用すべし。原南陽は甘草、大黄を加えて腸癰(虫垂炎)を治すという。余が門にては大黄・附子を加えて血瀝痛(月経痛)や打撲疼痛を治し、車前子、茅根を加えて血分腫(閉経することによって起こる浮腫)および産後の水気を治するなり。」      『勿誤薬室方函口訣』浅田宗伯

D「此の方、産前に於いては生を催し、生後に在りては悪露停滞、心腹疼痛或は発熱増寒をなす者を治す」「経水通ぜず、通ずるもまた寡く、或は前み、或は遅れ、或は一月両至、両月一至等、蓄洩常を失する者皆用いて効在らざる事なし。」有持桂里

[証および適応症] 

証:この処方は、多くは体格がしっかりしていて赤ら顔、肌がやや黒味を帯びて、脈も腹部も充実している人の、のぼせ、頭痛、頭重、肩こり、めまい下腹部の膨満感や痛みのある者、下腹部の鬱血のための血行障害などに応用されます。「瘀血のある人は、口が渇くがあまり水を欲しがらない、尿が近い、皮膚がくすんで浅黒い、さめ肌、大便は硬く黒く臭気が強い、痔がある、下肢の静脈が浮いている、知らない間にぶつけて青あざができている」などのサインがでています。

適応症:

@ 婦人科疾患:子宮およびその付属器の疾患、子宮内膜症、月経不順、月経困

難症、血の道症、更年期障害。

A頭痛、耳鳴り、眩暈、肩こり、のぼせ、心悸亢進、疲労倦怠感、足腰の冷え、便秘などの自律神経症状。

B皮膚疾患:紫斑病、湿疹、蕁麻疹、にきび、しみ、打撲傷、下肢静脈血栓症。

C神経性疾患:ノイローゼ、ヒステリー、神経質、うつ病。

D眼疾患:麦粒腫、眼瞼炎、フリクテン、紅彩炎。

@ その他:痔疾患、坐骨神経痛、リウマチ、甲状腺腫。


[加減方および留意点]

@ 桂枝茯苓丸料加ヨクイニン 桂枝茯苓湯にヨクイニン10gを加えます。

桂枝茯苓丸に肌皮甲錯(さめ肌)を目標とするヨクイニンを加えた処方で、体質的に瘀血質である人の皮膚の異常、特に角質化したものに使う機会が多い。例えば若い人のにきびで赤みを帯びており、生理の前後になるとひどくなるものや、進行性指掌角化症などに使用されます。またヨクイニンには腫れや腫物を取る働きがあるので、子宮筋腫や子宮内膜症、ポリープなどがあって、炎症や痛みがある時によく適応します。

ヨクイニン【甘微寒】の薬能は、「利尿し、水腫を除き、瘀血を除き、イボをとり、肌を潤す。肺気を調え、咳嗽を治し、清熱する」とあります。

@ 桂枝茯苓丸料を服用しても便秘する場合は少量の大黄を加える。

Bこの処方はいわゆる冷えのぼせに用いられる処方ですが、服用するとかえって、のぼせが強くなる場合や、足腰の冷えが増す場合には不適応なので服用を中止します。

C桂枝茯苓丸を煎じ薬として(桂枝茯苓丸料として)用いる時に、胃腸のあまり丈夫でない人は、胃部のもたれや食欲不振が起こることがあります、この時は生姜と甘草を加えて「甲字湯」とすると起こりにくくなります。



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