2.加味逍遥散(料)

[構成] 柴胡【苦平】当帰【甘温】、芍薬【苦平】、白朮【苦温】、茯苓【甘平】各3g 甘草【甘平】、牡丹皮【辛寒】、山梔子【苦寒】、各2g 生姜【辛温】、薄荷【辛微寒】各1g


[出典および口訣]

@『和剤局方』婦人諸疾篇の逍遥散の項目に「血虚、労倦し、五心煩熱し、肢体疼痛し、頭目昏重、心忪(胸苦しく)頬赤く、口燥咽乾し、発熱盗汗し、食を減じ臥すを嗜む、及び血熱相い搏ち、月水調はず、臍腹脹痛し、寒熱瘧のごとくなるを治す。また室女の血弱く陰虚して栄衛和せず、痰嗽潮熱し、肌体るいそうし、骨蒸となるを治す。」と記載されていますが、この逍遥散に牡丹皮と山梔子を加えたものが加味逍遥散です。また『校注婦人良方』瘡瘍門・婦人結核方論の加味逍遥散には、「肝脾血虚し、熱有り、遍身掻痒し、或は口燥咽乾し、発熱盗汗し、食少なく臥を嗜み、小便渋滞等の症を治す。又瘰癧流注、虚熱等の瘡を治す。」とあり身体掻痒感や小便の出にくいものにも用います。


A「此の方は清熱を主として上部の血症に効あり。故に逍遥散の証にして頭痛面熱

肩背強ばり、鼻血などあるに佳なり。また下部の湿熱を解す。婦人の淋疾、竜胆瀉肝湯などより一等虚侯の者に用いて効あり。この方の症にして寒熱甚だしく、胸脇に迫り、吐き気のあるは小柴胡湯に、山梔子、牡丹皮を加えるべし。男子婦人遍身に疥癬の如き者を発し甚だ痒し、諸治効なき者、此の方に四物湯を合して験あり。華岡氏はこの方に地骨皮・荊芥を加えて鵞掌風(主婦性湿疹・手掌角化症などの慢性湿疹)に用う。又老医の伝に、大便秘結して朝夕快く通ぜぬと云う者、何病に限らず此の方を用うれば、大便快通して諸病も治すという。」

浅田宗伯先生口訣

B「この方は婦人の一切の申し分に用いてよく効く。以前は、婦人の病というと、ほとんどこの処方を用いた。この方の目標は、月経が不調になって熱のふけさめがあり、午後になると逆上して両頬が赤くほてるというものに良い。あるいは婦人の性質が肝気亢りやすく(怒りやすく神経質になって)嫉妬深く、火気逆衝して顔面赤く、眥がつりあがり、発狂でもしかねまじき症によい。男子でも、癇癪持ちに用いてよし。その症は世に云う肝積もちにて、ややもすれば事に触れて怒り易く、怒火衝逆し、月に三四度も吐血したり鼻血を出したりとする者には此方を用いて宜し。」                    百々漢陰先生口訣


[証と適応症] 

証:比較的虚弱な人で、疲れやすく頭重、頭痛、肩こり、倦怠感があって食欲減退し、ときどき便秘するもの、とくに婦人で自律神経・内分泌などの機能失調によって現れた諸症状、精神不安、不眠、イライラ、肩こり、頭痛、めまい、冷えのぼせ、胸脇苦満、月経異常などに用いられます。

「逍遥」とは「あちらこちらをぶらぶら歩くこと」という意味で、この薬方の適応する患者さんは、自分のつらい症状を、あれこれと、とりとめなく訴えます。この処方は、肝と脾の虚を補いながら熱症状を取っていく働きがあります。使用する目標は、午前中は貧血気味で倦怠感があり、午後になるとのぼせや発熱のする者。カーと熱くなったかと思えばスーと寒くなるタイプの往来寒熱、のぼせ感や微熱が続く者、顔面の紅潮、首から上の異常発汗などといった熱症状になります。またいろいろな症状の訴え(不定愁訴)が多く、あせりっぽくて気分の変動の多いタイプも目標になります。このような熱症状は、精神的なストレスや肉体的な疲れが原因で自律神経が乱れたり、生理不順などのホルモン異常からも起こりますが、この薬方はそのどちらの場合にも対応できます。

適応症:

 更年期障害、自律神経失調症、神経症、抑鬱状態、湿疹、肝斑、脱毛症、常習性便秘、不眠症、頭痛、などに応用されます。


[加減方および留意点]

@逍遥散と加味逍遥散の使い分けは、主にのぼせ感が強いか弱いかで、顔面紅潮、頭冒感、頭重感があるときは加味逍遥散にします。

A加味逍遥散合四物湯 加味逍遥散に川芎3地黄3を加えます。四物湯は補血作用や滋潤作用があり、皮膚粘膜の栄養状態を改善していろいろな皮膚病の発生を抑えてくれます。慢性湿疹や進行性手掌角化症、にきびなどに応用されます。にきびに対しては当帰芍薬散加ヨクイニン桂枝茯苓湯加ヨクイニンが効かないときに奏効することが多いようです。



ホームページへ   前のページ   目次に戻る   次のページ

Copyright